東京のシーシャ店を「本当に美味しい店だけ」載せるメディア・紫煙。その舵を取るプロデューサーが、武則天様です。
秋葉原の夜を統べる女王にして、家に素焼きのボウルを常備するシーシャ愛好家。今回は運営者インタビューとして、シーシャとの出会いから、紫煙というメディアの哲学、愛用の機材、そして「ミックスで選ぶならこの3台」まで、たっぷり語ってもらいました。
「グルメ巡りより、シーシャでよくね?」
——まず、武則天様にとってシーシャの魅力ってなんですか?
シンプルに、美味しい。まずそれです。
シーシャって「煙を吸うもの」だと思われがちなんですけど、ちゃんとした店のちゃんとした一台は、香りを食べてるみたいな体験なんですよ。桃なら桃の、紅茶なら紅茶の香りが、吸うたびにふわっと口の中に広がる。しかもそれが1〜2時間ずっと続く。デザートを2時間かけて味わってるようなものです。
あとは……私、将棋を指すんですよ。シーシャって、将棋を指しながら吸えるんです。これが最高で。一手考えて、ひと吸いして、また盤面に戻る。煙のリズムと思考のリズムが噛み合うというか。昔は美味しいお店を巡るグルメ活動をしてたんですけど、ある時「シーシャでよくね?」って思っちゃった。
——グルメの上位互換だったと。
グルメ巡りって、食べ終わったら終わりじゃないですか。美味しかったね、で店を出る。シーシャは美味しい時間が長い。仕事するときも吸いながらできるし、友達とものんびり過ごせる。仕事からデートまで幅広く使えて、気づいたら生活の一部になってました。家でもシーシャ作りますからね。
——そもそもシーシャとの出会いは?
最初は友達に連れられて、なんとなく吸ったのが始まりです。正直、その時は「まあ、こんなもんか」くらいだった(笑)。ただその後、別の店でたまたま本当に上手い人が作った一台に当たったんですよ。同じシーシャなのに、味の解像度が全然違う。「え、シーシャってこんなに美味しいの?」って驚いて、そこから一気にハマりました。
だから私は、最初の一台で人生のシーシャ観が決まると思ってます。この経験が、そのまま紫煙というメディアの原点になってるんですよね。
紫煙は「本当に美味しい」だけを載せる
——紫煙はどんなメディアにしたいですか?
本当に美味しいシーシャだけを取り上げたい。それだけなんです。
シーシャって、正直どこで吸うかで全然違うんですよ。同じフレーバーを使っても、盛り方、炭の熱管理、機材、そして作り手の腕で、まったく別物になる。だから「シーシャ屋ならどこでもいい」は絶対に違うんです。微妙な店で微妙な一台を吸って「シーシャってこんなもんか」と思われるのが、いちばん悲しい。
本当に美味しい一台を吸ってもらえれば、魅力には勝手に気づいてもらえる。だから紫煙に載っている店は、私たちが実際に足を運んで「ここは美味しい」と選んだ店だけです(→ 掲載店一覧/ランキング)。数を増やすことには興味がなくて、載せる基準を下げるくらいなら少ないままでいい。
——どんな人に見てもらいたいですか?
シーシャを吸い始めたけど、どこのお店に行ったらいいかわからない人。まさにその人のためのメディアです。
シーシャ屋って外から中が見えないことが多いし、値段もシステムも店によってバラバラで、初心者には入口のハードルが高いんですよね。検索しても口コミの数ばかりで、「で、結局どこが美味しいの?」には誰も答えてくれない。紫煙は逆で、選んだお店はどこも美味しいから、迷ったらそこから行ってほしい。ハズレを引かないことが、シーシャを好きになる最短ルートだと思ってます。
おすすめは「ファーヘルの単品」
——初心者にも吸い慣れた人にも聞かれる質問ですが、おすすめのフレーバーは?
個人的には、アルファーヘルを単品で吸ってほしい。
単品って、上手い人が作るとまじで美味いんですよ。ミックスは複数のフレーバーを重ねるぶん、多少の粗は隠せる。でも単品は足し算でごまかせない。盛りと熱管理がそのまま味に出る、いわば引き算の世界です。ごまかしが効かないぶん、作り手の腕がそのまま出る。だから「この店、本当に上手いのかな?」を確かめたい時も、単品を頼むのがいちばん早い。
LA NATURE(ナチュール)の峯岸さんが作る一台とか、めっちゃ美味しい。ファーヘルって世界でいちばん流通してる定番ブランドなんですけど、定番だからこそ、上手い人が作った時の伸びしろがすごいんです。
ミックスで選ぶなら、この3台
——では、ミックスで選ぶなら?
紫煙が選んでるお店で吸ってほしいのが大前提だけど、挙げるならこの3台です。
**バリ島風ブルーベリー**は、主役のブルーベリーに清涼系とドラゴンフルーツを少しずつ効かせたミックス。濃厚なベリーの甘さなのに後味はすっきりしていて、甘いのに重くならないのがポイント。夏の夜に吸いたくなる一台です。
**ドイツ風オランジェット**は、お菓子のオランジェット(オレンジピールのチョコがけ)を再現した配合。オレンジとチョコを軸に紅茶で締めていて、甘ったるくならずにビターな余韻が残る。チョコ系が好きな人、夜更けにゆっくり吸いたい人はこれ。
**台湾トロピカル**は、桃・マンゴー・洋梨の3種のフルーツをアイスで締めた賑やかな一台。完熟フルーツの甘さが幾重にも重なって、最後はひんやり抜けていく。フルーツ系で迷ったらとりあえずこれでいいと思う。
各Mixの配合レシピや味の解説は、好きな味(Mix)一覧で公開中。KuruMiraの過去のイベント記事もどうぞ。
家シーシャの機材遍歴
——家でも作るとのことですが、どんなセットアップですか?
最初は単品ばかり作ってました。ダブルアップル用の素焼きボウルが家にあって、本体はエルマスで吸ってます。真鍮の台がかなりいい感じ。これは新橋TenのTakayaさんに教えてもらいました。プロに機材を相談できるのも、お店に通う理由のひとつですね。
家シーシャのいいところは、失敗も含めて全部が経験値になることです。盛りを変えて、熱を変えて、「あ、今日のは店の味に近い」とか一喜一憂する。それを繰り返すと、お店で吸った時に「この一台、どれだけ丁寧に作られてるか」がわかるようになるんですよ。作る側を少しでも経験すると、吸う側としての解像度も上がる。
最近は適当に組むことも多くて、マラキのWildにファーヘルのカルダモンを入れたり。あとはスターバズのボムシェルも好きですね。甘くて華やかで、気分を上げたい日にちょうどいい。
——ちなみに最近の活動は?
ゲスト出勤の準備をしています(笑)。メディアで「美味しい」を語るだけじゃなくて、自分のMixをお店で出してもらう側にも回ってみようと。詳しくはイベント記事を見てください。
好きなお店の使い分け
——最後に、プロデューサー自身がよく行くお店を教えてください。
- LA NATURE(赤坂)——友達と行くならここ。ゆるく沈める。単品の美味しさを知りたいなら、まずここの一台を吸ってみてほしい。
- Ten(新橋)——新橋で予定があるときに。机の高さがちょうどよくて、ひとりで作業するときにも行きます。PCを開いて、煙をお供に仕事を片付ける。
- swimy(神田)——早い時間からやってるし、ダークリーフが多くて通いやすい。しっかり吸いたい気分の日はこっち。
用途で使い分けてるけど、どこも「美味しい」は共通。まずこの中から行ってみてください。
編集後記
「本当に美味しいシーシャを吸えば、魅力に気づく」——紫煙の掲載基準は、結局この一言に尽きます。最初の一台の当たり外れがシーシャ観を決めるなら、最初から当たりを引けばいい。プロデューサーの言う通り、まずは掲載店のどこかで一台。初めてなら初心者ガイドと頼み方を読んでいけば、迷いません。
武則天様:シーシャメディア「紫煙」プロデューサー。将棋と煙と真鍮の台を愛する。座右の一台はアルファーヘルの単品。






